事業承継の種類:どの方法が自社に適しているか
更新日:10月14日
今回は、多くの中小企業経営者の皆様が直面する重要な課題、「事業承継」についてお話しします。
特に、事業承継の種類とそれぞれの特徴、そしてどの方法が自社に適しているかを考える際のポイントについてご説明します。
〈目次〉
事業承継の重要性
まず、事業承継の重要性について簡単におさらいしましょう。
事業承継とは、会社の経営権や資産を次の世代に引き継ぐことです。
これは単なる経営者の交代ではなく、長年築き上げてきた事業の継続と発展、従業員の雇用維持、地域経済への貢献など、多くの重要な要素を含んでいます。
事業承継の主な種類
事業承継には主に以下の3つの種類があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 親族内承継
2. 従業員承継(役員・従業員への承継)
3. 第三者承継(M&Aなど)
1. 親族内承継
親族内承継は、文字通り子どもや親族に事業を引き継ぐ方法です。
メリット
- 会社の理念や文化を維持しやすい
- 取引先や従業員の信頼を得やすい
- 準備期間を長く取れる可能性がある
デメリット
- 後継者の能力や意欲が不十分な場合がある
- 相続問題で他の親族とトラブルになる可能性がある
- 経営革新が進みにくい場合がある
2. 従業員承継
従業員や役員に事業を引き継ぐ方法です。
メリット
- 会社の事情に精通した人材が継ぐため、スムーズな承継が期待できる
- 従業員のモチベーション向上につながる可能性がある
- 会社の理念や文化を維持しやすい
デメリット
- 資金面での課題(株式取得資金など)が生じる可能性がある
- 経営者としての資質や能力の見極めが難しい場合がある
- 他の従業員との軋轢が生じる可能性がある
3. 第三者承継(M&Aなど)
社外の第三者に事業を売却する方法です。
メリット
- 高額での売却が可能な場合がある
- 会社の成長や新たな展開の機会となる可能性がある
- 後継者問題を解決できる
デメリット
- 従業員の雇用や取引先との関係に影響が出る可能性がある
- 会社の理念や文化が大きく変わる可能性がある
- 相手探しや交渉に時間とコストがかかる
自社に適した事業承継方法を選ぶポイント
では、どのように自社に適した事業承継の方法を選べばよいのでしょうか。
以下のポイントを参考にしてください。
1. 後継者の有無と能力
親族や従業員の中に、経営者として適切な能力と意欲を持つ人材がいるかどうかを見極めましょう。
いない場合は、第三者承継も視野に入れる必要があります。
経営者の方は、どうしても「能力」を厳しく査定しがちですが、根本的には「意欲」の有無を重要視すべきです。
能力は外部の人員で補うことができますが、意欲については、後継者の方の心のうちにある問題です。
2. 会社の財務状況
会社の業績や負債の状況によっては、選択肢が限られる場合があります。
例えば、業績が好調で負債が少ない場合は、より多くの選択肢が考えられます。
3. 事業の将来性
今後の事業の成長性や市場動向を考慮しましょう。
成長が見込める事業であれば、M&Aによる第三者承継も魅力的な選択肢となるかもしれません。
4. 企業理念や文化の継承
会社の理念や文化を重視する場合は、親族内承継や従業員承継が適している可能性が高いです。
多くの中小企業では、自社の(経営)理念や企業文化をが明文化されていません。
これを機に、あらためて、自社の方針を定めてはいかがでしょうか。
5. 従業員の雇用維持
従業員の雇用維持を最優先したい場合は、親族内承継や従業員承継が望ましいでしょう。
6. 準備期間
十分な準備期間が取れる場合は、親族内承継や従業員承継を丁寧に進めることができます。
一方、時間的な制約がある場合は、第三者承継も検討する価値があります。
7. 税制面の考慮
事業承継税制など、各承継方法で適用される税制の違いも考慮しましょう。
専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ:早めの準備が成功の鍵
事業承継の方法を選ぶ際は、上記のポイントを参考にしながら、自社の状況や経営者の想いを十分に考慮することが大切です。
また、どの方法を選ぶにせよ、早めの準備が成功の鍵となります。
具体的には、以下のステップを踏むことをおすすめします。
1. 現状分析
自社の財務状況、人材、事業の将来性などを客観的に分析する
2. 承継の方向性検討
上記のポイントを考慮しながら、最適な承継方法を検討する
3. 専門家への相談
税理士、弁護士、中小企業診断士などの専門家に相談し、アドバイスを受ける
4. 承継計画の策定
具体的な承継計画を立て、段階的に実行していく
5. 定期的な見直し
状況の変化に応じて、計画を柔軟に見直していく
事業承継は、会社の未来を左右する重要な取り組みです。
一人で悩まず、従業員や専門家と相談しながら、最適な方法を見つけていってください。
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