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サーチファンドとは? 中小企業経営者のための初心者向けガイド

(日刊工業新聞 2024年10月08日/ニュースイッチ)


近年、サーチファンドという言葉が注目を集めています。

特に、事業承継を考える中小企業経営者にとって、サーチファンドは新たな選択肢となり得ます。


本記事では、サーチファンドの基本的な概念から、その仕組み、メリット・デメリット、実際の事例までを詳しく解説します。


初心者の方でも理解できるように、わかりやすく順を追って説明しますので、ぜひ最後までお付き合いください。


 

〈目次〉

 
サーチファンドとは? 中小企業経営者のための初心者向けガイド



1. サーチファンドとは?

 

1.1 定義

サーチファンドとは、起業家や投資家が資金を集めて、特定の企業を買収するためのファンドのことです。

通常、サーチファンドは、買収対象となる企業を見つけるための「サーチ」期間と、実際に企業を買収する「投資」期間に分かれています。



1.2 歴史的背景

サーチファンドの概念は、1980年代にアメリカで始まりました。

特に、ハーバードビジネススクールの卒業生たちがこのモデルを利用して成功を収めたことから、広まりました。

日本でも近年、サーチファンドの存在が認知されつつあります。





2. サーチファンドの仕組み

 

2.1 資金調達

サーチファンドは、まず投資家から資金を集めます。

この資金は、サーチファンドを運営する起業家が企業を探すための費用や、実際に企業を買収するための資金として使用されます。



2.2 サーチ期間

資金が集まった後、起業家は企業を探し始めます。

この期間は通常、1年から2年程度です。

起業家は、業界のリサーチやネットワーキングを通じて、買収候補となる企業を見つけ出します。



2.3 買収と運営

適切な企業が見つかると、サーチファンドはその企業を買収します。

買収後、起業家は企業の経営を引き継ぎ、成長を促進するための戦略を実行します。



【サーチファンドの流れ】

サーチファンドの流れ

[出典:サーチファンド白書2023]


※『サーチファンド白書2023』
『【サーチファンド白書2023年】中小企業の後継者不在問題にはサーチファンドが活用可能。2023年のサーチファンドを活用したM&Aは9件と過去最多!2024年は金融機関以外の事業者もサーチファンド参入か』
(Growthix Investment株式会社/PRTIMES)

筆者が探した限り『サーチファンド白書2023』は、ウェブサイトからダウンロードや閲覧ができなかった。そのため、上記はプレスリリースの記事でありながら、サーチファンドの概要や、直近の状況を知ることができる貴重な資料となっています。

【本記事による、サーチファンドの定義】
経営者を志す個人(=ネクストプレナー/サーチャー)が生活費や調査費などの活動予算(サーチ費用)を投資家・ファンドから調達してその資金を活用し後継者不在企業を自ら探します。

さらに、自身が経営したいと思う企業が見つかった際には、投資家・ファンドから買収資金をさらに調達して企業を買収・経営するアメリカ発祥のM&Aです。

サーチファンドは一般的な企業対企業のM&Aとは異なりネクストプレナー/サーチャーがM&Aを行うため、買収する前に何度も企業に足を運び現社長とコミュニケーションをとることができます。

社長はサーチャーの人柄や能力、価値観、熱意などを譲渡する前に確認できるため、後継者として適している人材かを見極めることが可能です。

次の経営を任せられる人を社長自らが選べる点で、日本の中小企業の事業承継に合っており、後継ぎ不足を喫緊の課題としている中小企業オーナーにとって解決の糸口になると期待されています。


2.4 2種類のサーチファンドについて

日本国内で広がるサーチファンドには、大きく分けてトラディショナル型サーチファンドアクセラレータ型サーチファンドの2種類存在します。

企業買収を目指す点では共通していますが、その運営モデルやアプローチには明確な違いがあります。以下に、それぞれの特徴と違いを詳しく説明します。


①トラディショナル型サーチファンド

トラディショナル型サーチファンド

[出典:サーチファンド白書2023]

概要

トラディショナル型サーチファンドは、主に独立した起業家が資金を集めて企業を買収し、その後経営を引き継ぐモデルです。

このモデルは、1980年代にアメリカで広まりました。


特徴
  • 資金調達:

    起業家が投資家から資金を集め、サーチファンドを設立します。通常、サーチ期間中の運営費用と買収資金を含みます。

  • サーチ期間:

    通常1〜2年の間に企業を探し、評価を行います。

  • 買収後の運営:

    買収した企業の経営を引き継ぎ、成長戦略を実行します。経営者は、企業の価値を高めるために直接的な経営に関与します。

  • 投資家の関与:

    投資家は通常、経営には直接関与せず、経営者に対してアドバイザーとしての役割を果たします。



②アクセラレータ型サーチファンド

アクセラレータ型サーチファンド

[出典:サーチファンド白書2023]

概要

アクセラレータ型サーチファンドは、スタートアップや成長企業に特化したサーチファンドで、企業の成長を加速させることを目的としています。

このモデルは、特にテクノロジーやイノベーションに焦点を当てています。


特徴
  • 資金調達:

    投資家からの資金を集める点は同様ですが、アクセラレータ型では、通常、複数のスタートアップに対して少額の投資を行うことが多いです。

  • サポート体制:

    買収後、経営者は企業の成長を加速させるために、メンターシップやリソースを提供します。これには、マーケティング、技術支援、ネットワーキングなどが含まれます。

  • 短期間での成長:

    アクセラレータ型は、短期間での成長を目指すため、迅速な意思決定や柔軟な戦略が求められます。

  • 投資家の関与:

    投資家は、経営に対してより積極的に関与し、企業の成長を支援する役割を果たします。



③主な違い

 主な違い



3. サーチファンドのメリット

 

3.1 中小企業の事業承継

中小企業経営者にとって、サーチファンドは事業承継の新しい手段となります。

後継者が見つからない場合でも、サーチファンドを通じて企業を引き継ぐことが可能です。



3.2 経営の専門性

サーチファンドを運営する起業家は、通常、経営の専門家です。

彼らは企業の成長を促進するための知識や経験を持っており、経営の質が向上する可能性があります。



3.3 投資家のサポート

サーチファンドには、資金を提供する投資家がいます。

彼らは経営に関するアドバイスやネットワークを提供することができ、企業の成長を支援します。




4. サーチファンドのデメリット

 

4.1 リスク

サーチファンドにはリスクも伴います。

特に、買収した企業が期待通りに成長しない場合、投資家や起業家にとって大きな損失となる可能性があります。



4.2 経営の難しさ

新たに買収した企業の経営は、必ずしもスムーズに進むわけではありません。

特に、企業文化や従業員との関係を築くことは難しい場合があります。




5. サーチファンドの実際の事例

 

5.1 日本の事例

日本でも、サーチファンドを利用した企業買収の事例が増えてきています。

例えば、ある中小企業がサーチファンドを通じて後継者を見つけ、経営の質が向上したケースがあります。


【2023年のサーチファンドを用いたM&A 一覧】

【2023年のサーチファンドを用いたM&A 一覧】

[出典:サーチファンド白書2023]


5.2日本の主なサーチファンド

上記の表から、日本で活動するサーチファンドは以下のとおり。





6. 事業承継を考える中小企業経営者へのアドバイス

 

6.1 サーチファンドの検討

事業承継を考える際、サーチファンドを選択肢の一つとして検討することが重要です。

特に、後継者が見つからない場合には、有効な手段となるでしょう。



6.2 専門家の相談

サーチファンドを利用する際は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

法律や税務、経営に関する知識を持つ専門家が、スムーズな買収をサポートしてくれます。



6.3 ネットワーキング

サーチファンドに関心がある場合、同じような考えを持つ経営者や投資家とのネットワーキングを行うことが重要です。

情報交換や経験の共有が、新たなビジネスチャンスを生むことがあります。




7. まとめ

 

サーチファンドは、中小企業経営者にとって事業承継の新しい選択肢となります。


資金調達から企業の買収、経営までの一連のプロセスを理解することで、より良い意思決定ができるようになります。


サーチファンドのメリットやデメリットをしっかりと把握し、自社の未来を考える上での参考にしてください。


今後もサーチファンドに関する情報は増えていくでしょう。


興味を持った方は、ぜひさらに深く学んでみてください。あなたの企業の未来を切り開く手助けとなるかもしれません。



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