企業経営者が詐欺師に騙される理由
更新日:10月18日
(日本経済新聞)
企業経営者は、日々の業務や戦略的な意思決定に追われる中で、さまざまなリスクに直面しています。
その中でも特に厄介なのが詐欺です。
詐欺師は巧妙な手口を使い、経営者の信頼を得て、思わぬ形で企業に損害を与えることがあります。
本記事では、中小企業経営者が詐欺に騙される理由を五つのポイントに分けて解説します。
〈目次〉
1. 権威に弱い
経営者は、業界の権威や専門家の意見に影響されやすい傾向があります。
特に、成功した経営者や著名なコンサルタントからのアドバイスは、信頼性が高いと感じられるため、無条件に受け入れてしまうことがあります。
詐欺師はこの心理を利用し、権威を装って接触してきます。
偽の専門家が「この投資は絶対に成功する」と言った場合、経営者はその言葉を信じてしまうことがあります。
権威に対する過信は、詐欺の温床となるため、常に批判的な視点を持つことが重要です。
2. 一般人よりもハイリスクを好む
経営者は、ビジネスの成長を目指すあまり、リスクを取ることに慣れています。
このため、一般の人々よりもハイリスクな投資やビジネスチャンスに対して許容度が高いことが多いです。
詐欺師はこの特性を利用し、魅力的なリターンを提示してきます。
「短期間で倍になる投資」や「独占的なビジネスチャンス」といった言葉に惹かれ、冷静な判断を失ってしまうことがあります。
リスクを取ることはビジネスにおいて重要ですが、詐欺のリスクを理解し、慎重に行動することが求められます。
3. 詐欺スキームに対する知識不足
多くの経営者は、詐欺の手口やスキームについての知識が不足しています。
自身の判断能力を過信し、「自分には騙されない」と思い込むことが多いです。
このような自己過信は、詐欺師にとって格好のターゲットとなります。
詐欺の手口は日々進化しており、最新の情報を常にキャッチアップすることが重要です。
セミナーなどに参加し、詐欺の手口について学ぶことで、リスクを軽減することができます。
4. 詐欺師を呼び込む親しい知人の存在
経営者同士のネットワークは非常に重要ですが、その先には詐欺師が潜んでいることもあります。
信頼している知人経営者やコンサルタントからの紹介であれば、つい安心してしまうものです。
詐欺師はこの信頼関係を利用して接触してくることがあります。
成功した経営者が「この投資は素晴らしい」と言った場合、他の経営者もその意見に流されやすくなります。
信頼できる人からの情報でも、必ず自分で確認し、慎重に判断することが大切です。
※インナーサークル
インナーサークルとは、企業や組織の中で特に影響力が強く、重要な意思決定に関与する小規模なグループを指します。
大企業のオーナー経営者同士の個人的なつながりは、ある種の「インナーサークル」を形成することがあります。
インナーサークルは、しばしば排他的な性質を持ち、限られたメンバーのみが参加できる特権的なグループです。
そのため、詐欺話がいったんサークル内に浸透してしまうと、経営者自身が疑いを持って調べることをしない限り、かえって信憑性が増してしまうことになりかねません。
5. 冷静な判断を妨げる詐欺師のテクニック
詐欺師は、冷静な判断を妨げるためのさまざまなテクニックを駆使します。
時間的なプレッシャーをかけたり、感情に訴えかける手法を用いたりします。
「今すぐ決断しないとチャンスを逃す」といった言葉に惑わされると、冷静な判断ができなくなります。
また、詐欺師は自信に満ちた態度で接してくるため、経営者はその言葉に影響されやすくなります。
冷静さを保ち、十分な時間をかけて検討することが、詐欺に遭うリスクを減らす鍵となります。
人は物語性を帯びた詐欺話に騙されやすい
・物語の力
人間は物語に引き込まれやすい生き物です。
物語は感情に訴えかけ、論理的な思考を一時的に麻痺させる力があります。
「M資金」のストーリーは、歴史的背景や秘密の要素を含むことで、被害者の興味を引き、信じやすくさせます。
・希少性と特別感
「M資金」のような話は、特定の人だけがアクセスできる秘密の情報や資金を提供するという要素を持っています。
これにより、被害者は自分が特別な存在であると感じ、詐欺師の話を信じやすくなります。
特別感や希少性は、判断力を鈍らせる強力な要因です。
まとめ
詐欺は、経営者にとって非常に厄介な問題です。
しかし、上記の五つのポイントを理解し、注意を払うことで、詐欺に騙されるリスクを大幅に減少させることができます。
経営者は、常に情報をアップデートし、冷静な判断を心がけることが重要です。
詐欺に対する警戒心を持ち、信頼できる情報源を選ぶことで、企業を守ることができるのです。
中小企業経営者の皆さん、ぜひこの知識を活かし、詐欺から身を守ってください。
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